物理　理科　力学　基礎

まず最初に理解しなければならないことがあります。

体重計に乗れば自分の体重が分かりますが
そもそも体重計の値は何を示しているのでしょうか？
『質量』なのでしょうか？それとも『重量』なのでしょうか？

地球上に暮らし普通に生活している我々にとっては、それが『質量』であっても『重量』であってもほとんど関係ありません。

しかし、『質量』と『重量』の違いを理解するための入り口であるので
しっかりと理解しなければなりません。

月の重力について無知な子供だったら

「体が小さくなった」

なんて答えるかもしれません。
しかし、たいていの方は

「月の重力は地球の１/６」

というのを知っています。
つまり

『月の重力は地球の１/６だから、体重計が１０Kgを指した』

と答えると思います。

問題に対して分かったことは

・物体（Ａ君）自体には変化はない
・月の重力は地球の１/６だから、体重計が１０Kgを指した

となります。
また、私が前項で説明した『質量』と『重量』の違いはと言うと

質量：物体の絶対的な（変化のない）量。単位：Kg
重量：重さ。力。重力。単位：Kg重、Kgf、Kgw、N（ニュートン）等

これを見比べれば分かると思います。つまり

物体（Ａ君）自体には変化はない ⇒ 質量
月の重力は地球の１/６だから、体重計が１０Kgを指した ⇒ 重量

と言えるのです。したがって

体重計は『重量』を示していることになるのです。

それでは、単位はどうなるのでしょうか？
下の表をご覧ください。

地球上に限っていうと、『質量』と『重量』は単位が違いますが数値は同じなのです。つまり

『質量１Kgの物体は、重量１Kg重』

となり、単位としては『重』の違いだけなのです。
本項の一番最初に

「地球上に暮らし普通に生活している我々にとっては、それが『質量』であっても『重量』であってもほとんど関係ありません。」

と書いた理由はこの為です。
体重計の値を見て「体重が６０Kg重だ」なんて言っている方はいないと思います。つまり

一般的には『質量』＝『重量』という扱いになってしまっているのです。

これが悪いということではありません。
ただし、物理を勉強する上でこれが頭から離れないと『質量』と『重量』の違いが見えてこないことになるのです。